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ウガンダ
【モロト県】生計向上支援と母子の栄養改善事業

子どもの低栄養が深刻であるウガンダ・モロト県で、農業支援を通じた生計向上、母子栄養に関する保健サービスの改善、保健と農業のセクター間の連携促進の活動を実施し、コミュニティに栄養改善に向けた活動を定着させ、5歳未満の子どもの栄養状態の改善を目指します。

第1年次活動報告(1)

ウガンダ国モロト県における生計向上支援と母子栄養指導を通じた栄養改善事業

 ウガンダの北東部に位置するモロト県では、住民の50%が急性食料不安または人道危機レベルの飢餓リスクにさらされており、多くの子どもたちの命が脅かされています。食料不安は子どもたちの栄養状態に大きな影響を与え、さらに、乳幼児死亡のほぼ半数(45%)が低栄養に起因しています。
国全体としても子どもたちの低栄養が深刻なウガンダですが、その中でも特にカラモジャ地方のモロト県は危機的な状況に置かれています。5歳未満の子どものうち、飢餓や疾病等によって短期的に起こり、5歳未満死亡の強い予測因子である消耗症(体重が身長相応の基準値に満たない)の割合が8人に1人(12%)と大変高くなっています。また、中長期的な栄養摂取不足に起因する発育阻害(身長が年齢相応の標準値に満たない)の状態にある子どもの割合も39%と深刻です。

 カラモジャ地方には、歴史的に多くの牧畜民が居住しており、主に畜産と雨に頼った天水農業で生計を立てています。しかしながら、同地方は年間を通して高温であり、かつ降雨量にもばらつきがあり干ばつが発生する地域です。そのため、食料の安定的な供給が妨げられ、人々は食料援助に頼らざるを得ない状況があります。貧困率も60.2%とウガンダ国内で最も高くなっています。

活動内容

1.事業開始

キックオフ会合に参加した地域関係者

 ウガンダ東部カラモジャ地方のモロト県で生計向上・栄養事業を新たに開始するにあたり、事業スタッフの雇用を経て、5月下旬にモロト県事業関係者を招いてキックオフ会合を実施しました。県知事、カラモジャ地方モロト長官、各セクターからは農業局、保健局、水・環境局、開発局をはじめ、事業対象県内のタパッチ準郡関係者が参加したなかで、当会より事業策定背景、支援対象者、活動内容及び期待される成果を発表しました。参加者からは積極的に質問が出され、非常に活発な議論が行われました。
 特に、県・準郡のオーナーシップを高めるために、事業初期より関係者への情報共有を密にする重要性や、対象地域関係者の意思決定とともに活動計画を進めること、また成果を適宜共有することの必要性などが本会合を通じて確認されました。

 カラモジャ地方は年間雨量が少なく農産物生産高が低いことでも知られており、生計向上を目指すためには水の確保が喫緊の課題です。よって本事業では、準郡内に小規模灌漑施設を建設することにより、乾期でも作物生産が可能となるようなスキームを導入しました。灌漑を利用し、農地での年間を通じての生産が期待されており、関係者からのコミットメントも高まっています。



2. 保健医療施設職員、村落保健チーム(Village Health Team: VHT)への研修

 乳幼児期の栄養摂取の重要性を理解してもらい、実践を促進するために、タパッチ準郡の保健医療施設職員及びVHTへの栄養研修を実施しました。内容は、栄養の概念、食品群、バランスの良い栄養摂取、栄養不良とその兆候、栄養不良の受益者に係る記録の付け方及びフォロー方法、また妊娠時から2歳に至る乳幼児への授乳と離乳食の与え方等を扱い、各4日間の研修を終えました。

講師にはモロト県保健局栄養担当主席官、モロト地域病院栄養士を招聘し、地域の実情に根差した講義を行い、参加者からは「実践的で、受益者にたいする指導内容も明確に理解できた。今後の実務に大いに活かしていきたい。」等の声があげられました。
 受益者の母親に幼児期の栄養摂取の重要性を実践的に理解してもらうため、食品の紹介や調理実演も積極的に進めています。以下の写真のように、食品群ごとに食材を分けて説明し、例えばとうもろこしの粉だけを調理して食べるのではなくて、そこに牛乳、卵、野菜などを工夫して一緒に取り入れることにより、一回の食事でより多くの栄養が摂取できることを説明しました。さらに調理前後で手を洗い、衛生を確保することの重要性も指導しています。


保健医療施設スタッフへの研修の様子


【左】栄養セッションで紹介した地域の野菜や果物


【右】手洗い習慣について学ぶ子ども


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