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ウガンダ
生計向上支援と母子の栄養改善事業

ウガンダは一人当たりの所得が低いという問題を抱えています。特に農村地域の母子の保健サービスへのアクセスや栄養不良が深刻で、その結果、乳幼児の発育や認知機能、学習能力に悪影響を及ぼし、子どもの発育を妨げています。そこで、ウガンダ西部地域のカセセ県の母子を中心に、保健医療施設での栄養啓発活動を行い、生計向上支援及び母子の栄養改善事業を行いました。

第3年次 完了報告

ウガンダ国カセセ県における生計向上支援と母子の栄養改善事業 第3年次

 子どもの発育阻害を防ぐには、家庭での食料の生産、母親の妊娠期における栄養改善、産後の母乳育児の推進、栄養バランスの良い補完食の適切な時期の導入などが大変重要です。そのために3つのカテゴリー(1)農業を通じた生計向上、(2)母子の栄養改善のための保健サービスの改善、(3)保健と農業のセクター間連携のための子どもの栄養についての理解促進の活動を実施しました。

活動(1)農家の生計向上支援

 本事業対象の3準郡で、200の農家世帯に対して農業技術指導と農業資材の提供、また小規模生産者グループの設立と農業資金の調達強化を行い、農家の生計向上を支援しました。支援を通じて、対象農家の農業生産高が増加し、うち76%が支援前に比べて20%の収入増加を達成しました。また、200世帯の農家を10のグループに分け、グループ毎に貯蓄や農業のための投資を行うようになりました。


農業普及員に指導を受ける農家

農家への技術指導:200世帯の農家が、敷作、掘割、河川水路管理など、生産高増加のための農業技法を学び、また、野菜・果物栽培方法や雑草や害虫駆除、生産物のマーケティングについて学びました。
農業資材の供与:地域にデモンストレーション農園を設置し、農業指導員が農家に対して実践的な農業指導を行うとともに、種子、背負い式噴霧器、農機具等を供与しました。


供与した噴霧器で作物の害虫駆除・予防をする農家

生計の多角化のための支援:青果の栽培以外に、家畜(ヤギ、鶏、豚)の管理、椎茸栽培について技術指導を行い、対象農家はより多角的な生計手段を確保できるようになりました。
小規模生産者グループの設立:上記の小規模生産者グループに 、グループのガバナンス、ビジネスプランの策定方法、農作物の市場での販売について研修を行いました。
農業資金調達システムの強化:各グループによる村の貯蓄貸付組合の組織を支援し、グループは毎週1回の積み立てと、ビジネスプランに沿った借入・投資を開始しました。


質が向上し、以前の2倍の価格で販売したバニラ

活動(2)母子の栄養改善のための保険サービスの改善

 対象3準郡の保健サービスを改善するため、地域の保健施設スタッフへの研修、栄養相談窓口の設置、保護者への栄養啓発セッション、栄養不良スクリーニングなどを実施しました。事業終了後に質問票調査を実施したところ、表の通り事業開始前の2020年の数値と比較して、母子の栄養に関するすべての指標が改善していることが分かりました。特に乳幼児の栄養摂取にとって重要な生後6か月の授乳については100%を達成し、そのほか最低食事水準も35.4%と開始前の5.7%から大きく改善しました。


事業開始時と事業実施後の母子の栄養に関する指標の変化

保健医療人材への母子栄養についての研修:3準郡にある15の地域保健施設のスタッフ35人と、村保健ボランティアチーム86人に対して、母子栄養に係る研修を行いました。研修実施後は、カセセ県の栄養指導官および栄養士がこれら地域の施設を巡回して、研修後の実践のフォローアップとモニタリングを実施しました。
栄養相談窓口の設置と強化:3準郡内の6つの保健施設に栄養相談窓口を設置しました。栄養状態の評価のために、吊り下げ式乳児用体重計、乳児身長計、体重計、身長計、上腕周囲径(MUAC)テープ、ヘモグロビン検査キットを、各窓口に供与しました。

子どもの保護者を対象とした栄養啓発セッション:15の保健施設で、定期的に保護者に対して栄養啓発セッションを実施しました。内容は、栄養の基礎や母乳と授乳の重要性、家庭菜園の重要性とつくり方、離乳食の調理実演などについてでした。事業期間に各施設で10回、のべ16,001人が参加しました。家庭での栄養管理は父親ら男性の協力が不可欠ですが、これらセッションには男性も3,705人参加しました。
家庭訪問と栄養不良スクリーニング:妊婦・授乳婦、栄養不良のリスクがある2歳未満の子どもをもつ保護者の家庭を訪問し、栄養状態の評価や栄養指導を行いました。また、3か月に1度MUACテープを使って2歳未満児9,089人の栄養スクリーニングを行い、栄養不良と判断された178人を保健医療施設に紹介し、医療サービスにつなげました。


保健施設スタッフによる栄養状態の評価の様子



活動(3)保健と農業のセクター間連携のための子どもの栄養についての理解促進

 事業対象地の保健と保健セクターの行政関係者の連携のため、定期会合を開催しました。また、会議の前には関係者に対して母子栄養についての研修も実施し、行政のキーステークホルダーが母子栄養についての課題を共有し、望ましい対応策について理解したうえで会合に参加できるように工夫しました。
 2022年10月に開催した会議では、次会計年度である2023/24年に向けた予算要求について話し合われ、栄養課題改善に向けた各セクターの優先的活動が共有されました。また、財務局からは積極的に予算策定のための関係者への指導がされました。その結果、カセセ県地方政府保健局、農業局、財務局、地方政府局、教育局、社会開発局、水・環境局、天然資源局の各セクターで、栄養改善係る活動の予算がカセセ県政府に承認されました。



調理実演の手順を説明する村長 (マリバ準郡 2022年)


実際に調理する村長(マリバ準郡 2022年)


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