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妊娠14週のママ&お腹の赤ちゃんの様子は?日常生活で注意すること

監修:古市 菜緒

プロフィール

助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

妊娠14週は、子宮がグレープフルーツから乳児の頭くらいの大きさになり、人によってはお腹のふくらみが目立ってくるころ。「赤ちゃんがお腹にいる」と、実感できるかもしれません。

また、体内の赤ちゃんをしっかりと固定する胎盤(たいばん)が妊娠14週から妊娠15週ごろに完成するため、流産の心配は少なくなります。妊娠報告などで話題になる、いわゆる「安定期」は妊娠16週ごろからをいうので、その直前にあたります。専門的には妊娠14週から「妊娠中期※」に入るため、実は「大きな節目」の時期なのです。

※妊娠14週未満を「妊娠初期」、妊娠14週~妊娠28週未満を「妊娠中期」、妊娠28週以降を「妊娠末期」とする妊娠の3期分類は国際的な区分で、近年は日本でも取り入れられるようになっています。

この時期の赤ちゃんはママのお腹の中で丸まっています。大きさは個人差もありますが、頭からお尻まで(頭殿長:CRL)で7~10センチくらいです。体重は平均約60グラム。Lサイズの玉子  1個分くらいの重さです。

胎盤も完成に近づき、赤ちゃんはもちろん、ママの体内でもホルモンバランスなどの様々な変化が見られます。妊娠後の高温期が収まり、徐々に基礎体温が下がって平熱に近づくのもこの時期です。

今回の記事では、そんな妊娠14週の赤ちゃんやママの様子について詳しく解説していきます。

妊娠14週目|お腹の赤ちゃんの様子は?


妊娠14週目|お腹の赤ちゃんの様子は?

妊娠14週ごろのお腹の赤ちゃんの様子を紹介しましょう。

妊娠10週未満(受精後8週未満)の赤ちゃんを胎芽(たいが)、妊娠10週以降(受精後8週以降)の赤ちゃんを胎児(たいじ)と呼び、胎児になると人間の赤ちゃんに近づいていきます。
妊娠14週の赤ちゃんは胎児になって4週間目。目や鼻、耳、口が形づくられ、体も3頭身に近づき、手足も動くようになり、早い場合は胎動も感じられます。


●体のパーツができてくる


胎芽のころの赤ちゃんは頭が体の大半を占めますが、妊娠14週くらいになると胴体部分や手足の成長が進み、3頭身に近づきます。心臓や肺などの臓器や器官も発達して稼働を始めます。
3頭身に近づくことで「首」が形づくられるのもこのころ。妊娠10週目くらいまでの赤ちゃんは胴体の上にすぐ頭があるような状態でしたが、ますます人間らしくなってきます。

妊娠7週目ごろに生まれた目や鼻、耳、口が徐々にはっきりと形になっていき、妊娠14週までには「まぶた」ができてきます。まぶたが上下に分裂して開く状態になるのは、妊娠24週前後です。  

また、妊娠12週ごろからつくられ始めた骨や皮ふ、爪、手足の指などは、14週目ごろになるとさらにはっきりとした形になります。口の中では、妊娠7週ごろからつくられた歯茎の中の「乳歯のもと(歯胚)」が固くなって乳歯になり始め、産まれた後にすぐ生える準備をするのです。


●男女の判別ができる

妊娠11週目ごろから性器の形で男女の区別が可能です。14週目ごろにははっきり見えはじめるため、超音波検査(エコー検査)で性別がわかるようになります。

ただし、男の子は外性器が突出するため、モニターに映りやすく判別しやすいですが、女の子だとわかるのははやくても17~19週目ごろです。赤ちゃんの姿勢など、性器が見えやすい条件などの影響も受けます。

●手足が活発に動くようになる

妊娠12週くらいから赤ちゃんの自発的な運動が始まります。
筋肉が動き始めるのは妊娠14週くらいから。このころには子宮内の羊水の量も増えて体を動かしやすくなるので、赤ちゃんはママのお腹の中で自由に手や足を動かします。

手を握ったり足を曲げ伸ばししたりするほか、足首だけ器用に動かすなど様々な動きをするようです。

●うぶ毛と胎脂で体が覆われる

妊娠14週ごろには透明だった皮ふが徐々に赤みを帯びてきて、徐々に不透明になっていきます。顔にうぶ毛が生えはじめるのも、この時期です。

このうぶ毛は「胎毛(たいもう)」と呼ばれ、妊娠19週前後になると全身を覆います。
胎毛は同じく赤ちゃんの全身を薄く覆う蝋(ろう)のような脂分、「胎脂(たいし)」と同様に皮ふを守る役割を果たすのです。

妊娠14週目|ママの様子は?


妊娠14週目|ママの様子は?

妊娠初期は、検査によって妊娠がわかっても「つわり」などのマイナートラブルや流産などのリスクもあり、身体的にも心理的にも不安定な時期が続くことが多いです。
しかし、妊娠14週目ごろは胎盤が完成に近づくことで流産の心配も少なくなり、「つわり」などのマイナートラブルも軽快していきます。医師や助産師との相談になりますが、運動などの活動もOKが出る時期です 。

また、お腹がふくらむことで、「自分は妊婦なんだ」「お母さんになるんだ」という実感がわき始めるママも多いでしょう。早い場合はかすかな胎動を感じることもできます。初めての胎動を感じてお腹の中のわが子への愛着が深まるとの体験談もよく耳にします。

●お腹のふくらみが目立ち始める  

個人差はありますが、妊娠14週目ごろには下腹部がぽっこりしてくることが多いです。子宮はグレープフルーツから乳児の頭くらいの大きさになり、子宮のふくらみのてっぺん部分(子宮底)が恥骨の結合部分からはみ出て、お腹をふくらませます。

今後、さらにお腹がふくらむにつれて皮ふの線維が切断され、お腹にひび割れ状の線があらわれます(妊娠線)。妊娠線を少なくするためには、スキンケアにより皮ふのやわらかさ(弾性)を向上させることが大切です。この時期くらいからマタニティクリームなどを使い始めるとよいでしょう。

●「つわり」が落ち着き出す

前述のとおり、妊娠14週ごろになると、「気持ち悪い」「胃がムカムカする」などの「つわり」による妊娠初期の不快感やマイナートラブルが軽快することが多いです。体調がよくなって食欲が戻る時期になるので、食べ過ぎや糖分の過剰摂取に注意するなど、食生活に気を配りましょう。

「つわり」については、次の記事で詳しく解説しています。


合わせて読みたい
妊娠中のつわりはいつから~いつまで?よくある症状や上手な付き合い方

●乳汁が漏れることがある

妊娠12週ごろからおっぱいが張り、妊娠初期でも水のような透明な液体が乳首から漏れることがあります。これは母乳ではなく「乳汁」と呼ばれるもので、妊娠中によくある現象です。妊娠週数が進むにつれて、粘り気が出て、色も灰白色に濁り、黄色味を帯びてきます。清潔を保ち、量が気になる場合は母乳パッドなどを使用しましょう。

産後まで出ないことも多く、その場合は産後数日ほどで出る母乳が初乳になります。

妊娠14週目のママに気をつけてほしいこと


妊娠14週目のママに気をつけてほしいこと

妊娠14週の赤ちゃんの様子、ママの様子のイメージがわいたでしょうか。すでに述べた通り、妊娠14週目になると、「つわり」などのマイナートラブルも落ち着き、運動なども可能になることが多いですが、生活の面でぜひ気をつけてほしいポイントがあります。

●食べ過ぎに注意する

「つわり」による吐き気や胸やけ、嘔吐などの不快な症状が落ち着き、子宮によるお腹の圧迫感も少ないため、食欲が旺盛になって食べすぎてしまい、なかには肥満傾向になる妊婦さんもいます。

妊娠中の過剰な体重増加は、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病のリスクになります。妊娠糖尿病は、多くの場合、産後は治る妊娠期だけの一過性の「糖尿病」です。妊娠中は胎盤でインスリンが分解されるため、高血糖になりやすい状態が生まれるので食べすぎが原因ではありませんが、飲食には注意が必要になります。

推奨される体重増加は、次の表の通りです。詳しくは主治医に相談してください。



妊娠前の体格 妊娠期間中の体重増加の目安
低体重(やせ):BMI 18.5未満 12~15kg
ふつう:BMI 18.5 以上25.0未満 10~13kg
肥満(1度):BMI 25.0以上30.0未満 7~10kg
肥満(2度):BMI 30.0以上 個別対応

(国立成育医療研究センター)

ちょうど14週ごろから軽めな運動が可能になることが多い時期です。毎日体重計に乗って体重管理をしたり、食べすぎに注意したりする以外に、ウォーキングなどの適度な身体活動(エクササイズ)を取り入れるとよいでしょう。無理は禁物のため、少し散歩するだけでもよいかと思います。

運動は肥満予防や体力の維持だけでなく、気分転換にもなります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを下げるとする報告もあるようです。

●貧血に注意する

妊娠中は、赤ちゃんの発育や代謝の亢進により全身の血液量が20~30%も増加します。しかし赤血球はそれほど増えず、血液が水分で薄められたような状態になるため、貧血になりやすくなります。

特に生じやすいのは、体内の鉄分が不足して十分な赤血球がつくられなくなる「鉄欠乏性貧血」です。鉄は赤血球の主要な材料で、酸素は赤血球の内部にある鉄(ヘモグロビン)と結びついて運ばれます。妊娠中は赤ちゃんや胎盤に鉄が必要になって不足しがち。そのうえ、血液が薄まっているため、鉄欠乏性貧血になりやすくなります。

鉄欠乏性貧血になると、ママは疲労感やめまい、息切れという症状が現れるだけではなく、赤ちゃんに酸素が届きにくくなってしまうので注意が必要です。特に、お腹が大きくなってくる妊娠14週以降は要注意。鉄が十分にとれるよう、栄養バランスが整った食事を心がけましょう。
鉄分は、レバー、納豆、赤身肉、マグロ、カツオ、ほうれん草、小松菜、あさり、そばなどに多く含まれます。また、葉酸も不足しがちなので注意しましょう。

妊娠14週からは「妊婦さん」の実感が始まる時期


妊娠14週からは「妊婦さん」の実感が始まる時期

妊娠初期のママさんもプレママさんも、妊娠14週のイメージができたでしょうか。

妊娠14週以降はお腹もふくらみはじめ、マタニティウェアを着たり赤ちゃんの胎動を感じたりして、妊婦さんであること、お腹に赤ちゃんがいることを実感する時期になります。
妊婦健診のエコー検査でも、手足がついて目鼻の見える、3頭身のかわいい赤ちゃんを見ることができ、愛情が深まるかもしれません。

妊娠初期の「つわり」などの不快な症状が軽減し、お腹もまだ小さく動きやすいことが多い時期。お腹の赤ちゃんの成長を楽しみにしながら、出産後の準備もできるでしょう。



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