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【年齢別】赤ちゃんを寝かしつけるコツ|よい睡眠で健やかな成長を

監修:古市 菜緒

プロフィール

助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

「赤ちゃんがなかなか寝ついてくれない」「夜中に何度も起きる」という悩みを持つママ・パパは多いでしょう。いくら大切な可愛い赤ちゃんでも、連日夜中まで育児が続くようでは疲れが溜まってしまいます。できれば夜くらい、自分の時間が欲しいもの。

バウンサーやスリーパー、ホワイトノイズマシンなどの便利な寝かしつけアイテムも人気ですが、赤ちゃんの眠りに関する基本的な知識がなければスムーズに寝かしつけることは難しいでしょう。

今回は、赤ちゃんがなかなか寝ない理由と寝かしつけのコツを、注意点も含めて解説します。ぜひチェックしてみてください。

赤ちゃんがなかなか寝ない場合に考えられる理由


赤ちゃんがなかなか寝ないとき、どんな理由を考えますか。「おっぱいが足りない?」「おむつが濡れてる?」「体勢が悪い?」などと思うかもしれませんが、赤ちゃんが寝ない理由はそれだけではありません。

長い間、快適なママのおなか  の中にいた赤ちゃんは実にいろいろなことで不快や不安を感じます。また、睡眠のリズムも重要です。赤ちゃんがなかなか寝ない場合に考えられる理由を集めました。


おなかが空いているため


赤ちゃんが眠りにつかない原因の一つは、空腹です。特に  新生児期(生後28日まで)の赤ちゃんは、主に空腹のために目を覚まします 。

生まれてすぐは、母乳やミルクを一度にたくさん飲めないため、前回の授乳からあまり時間が経っていなくても、おなかが減ってしまいがち。また、産後すぐはママの母乳が出にくかったり、うまく授乳できなかったり、赤ちゃんが上手に哺乳できなかったりもします。

赤ちゃんがなかなか寝つかない場合は、まず母乳やミルクが必要なのか、様子をみて考えましょう。
最初のうちの授乳は頻繁でも、生後2~3か月ほど経てば、上手に母乳やミルクを飲めるようになり胃も大きくなるため、1回に飲める量が増えてきます。そうすると、少しずつ長い時間まとめて眠るようになってきます。

睡眠のリズムが整っていないため

生まれたばかりの赤ちゃんは昼夜の区別がなく、2~3時間くらいの間隔で寝たり起きたりを繰り返し、1日の睡眠時間の合計は15~16時間ほどになります。徐々に昼と夜の区別がつきだし、夜にある程度まとまって眠れるようになるのは、生後3~4か月頃です(ただし個人差があります)。

生後3~4か月以降の赤ちゃんがなかなか眠らない原因の一つが睡眠のリズムの乱れです。赤ちゃんの睡眠のリズムを整えるためには、24時間周期の体内時計(サーカディアンリズム)の完成が重要になります。明暗環境を調整し、昼間は木漏れ日程度の明るさの場所、夜間は静かで暗い場所で寝かせてあげましょう。

睡眠のリズムが整えば、徐々に夜間の睡眠が長くなり、1歳くらいになると途中で起きることなく10~12時間眠れるようになります(個人差あり)。

不快感があるため

赤ちゃんがなかなか寝つかないもう一つの原因は、不快感です。おむつが汚れて気持ち悪かったり、げっぷが出なくて苦しかったりするのが典型的ですが、ほかにも次のような原因で寝つきが悪くなることがあります。赤ちゃんの様子を見ながら、対策してあげましょう。

室温

暑かったり寒かったりする(室温を調整してあげましょう)

発汗

汗で気持ちが悪い(着替えをしてあげましょう)

明度・光

部屋が明る過ぎる。光が目に入る(カーテンをしたり照明を落としたりして調光してあげましょう)

便秘

おなかにうんちが溜まっている(離乳食の開始時期によくみられます。おなかをマッサージしてあげましょう。ひどい場合は医師に相談しましょう)

体調不良

体がつらい・気分が悪い(発熱や顔色、いつもと違った表情や様子などがないか確認し、不安があれば医師の診察を受けましょう)

【0歳向け】赤ちゃんを寝かしつけるコツ


0歳の赤ちゃんは、1日の多くの時間を寝て過ごします。必要な総睡眠時間は14~16時間。午前と午後2回のお昼寝が勧められています。

この頃の赤ちゃんの睡眠は不安定で、個人差が大きいのが特徴です。2~3時間ごとに目覚めてしまう子もいれば、8時間ほど続けて眠る子もいます。また、早い赤ちゃんは 生後3か月頃から夜泣きが始まり、ママ・パパが苦労するケースも多いです。

0歳の赤ちゃんをスムーズに寝かしつけるコツを紹介します。


寝室の環境を整える


赤ちゃんは、温度や湿度、明度などの寝室の環境が快適に整っていないと、寝つきにくい傾向があります。環境への適応能力が未熟で、刺激や変化に弱いためです。たとえば体温なら、環境温度の影響を受けやすいため、部屋が寒かったり暑かったりすると、すぐに低体温や高体温になってしまいます。

新生児の場合、体重などの状態によりますが、掛け物をしたうえで室温24~26℃、湿度50~60%くらいがよいとされます。明るさは、昼夜の明暗環境に合わせて、昼は明るめ夜は暗めに調整しましょう。

生後28日を過ぎて乳幼児期に入れば、ある程度の体温調節   ができるようになりますから、冬は室温20~25℃くらい、夏は26~28℃くらい、湿度は50~60%を意識すればよいでしょう。

加えて、大きな音も刺激になります。眠りにつくときは、静かな環境をつくってあげましょう。

胎内と似た環境を再現する

新生児を「子宮の外にいる胎児」ととらえる考え方があるくらい、特に生まれて間もない時は、なるべく胎内に似た環境を再現することが重要といわれています。

先ほど説明した快適な温度環境に加え、弱められた光や音、適切なタイミングで提供される栄養、母親の心音や呼吸音、羊水や羊膜による適度な包み込みなどが、赤ちゃんをリラックスさせるのです。

ですから、赤ちゃんをおくるみでくるんで適度な圧力を与えたり、添い寝して赤ちゃんが体温や心音、呼吸音などを感じるようにしてあげたりすると、眠りにつきやすくなります。

スキンシップをとる

赤ちゃんの時期は、親子のスキンシップによる愛着形成が重要です。赤ちゃんとの触れ合いでママ・パパがいると安心するような関係をつくっていきます。

ママの場合は授乳によって比較的すぐに愛着形成がはかれる場合が多いですが、パパの場合はできるだけ多くの機会を見つけてお世話したり抱っこしたりして、早めの愛着形成をはかりましょう。

近くにいて赤ちゃんが安心するような関係ができたら、ゆったりとリラックスした気持ちで添い寝したりスキンシップをはかったりすると、眠りにつきやすくなります。同時に、背中を一定のリズムでトントンしたり、 優しくなでてマッサージしてあげたり、声のトーンを下げて静かに話しかけたりすると、さらに効果的です。

音楽を流す

赤ちゃんがリラックスできるような音楽を流すと、寝つきがよく  なる場合があります。子守歌やクラシック、オルゴール、ヒーリングミュージックなど、静かで心地よい音楽がおすすめ。ゆったりとしたリズムやテンポが一定の曲だと、心拍が安定してより眠りやすくなります。

最近は、ホワイトノイズという特殊な雑音が安眠に効果的と話題になり、ホワイトノイズを発生する機械も市販されています。赤ちゃんの寝つきをよくする効果もあるようで、便利な寝かしつけグッズとして人気です。

生活リズムをつくる

新生児のときは、明暗環境の調整で昼夜の区別がつき、睡眠のリズムができるように手助けします。

昼夜の区別がついてくる生後3~4か月頃になったら、朝起きてから寝るまでの流れを大まかに決めて、習慣化するとよいでしょう。たとえば起床、朝寝と昼寝、授乳、遊びや抱っこでお散歩、お風呂、就寝などの時間についてある程度の流れをつくっていきます。ただし、無理して合わせずに赤ちゃんの様子を見ながら徐々に整えていくことが大切です。

夜にお布団に入るときは、部屋を暗くして授乳し、添い寝で絵本を読む、子守歌を歌う、音楽をかけるなど、ルーティン  があるとよいでしょう。赤ちゃんが眠る準備に入りやすくなります。

【1歳向け】赤ちゃんを寝かしつけるコツ


1歳になると、活動量が急激に増えますし、離乳の完了期に入り、朝・昼・晩の1日3回の食事のお世話も必要になりますから、子育てがさらに大変になり始める時期です。

夜はまとまった時間眠るようになりますが、生活のリズムが整っていなかったり、夜も遊んで興奮したままだったりすると、寝かしつけに苦労する場面も多いでしょう。

1歳の赤ちゃんをスムーズに寝かしつけるコツを紹介します。  


朝起きる時間を早める


1歳は、伝い歩きが始まるなど、運動量が増える時期。朝早起きすると、そのぶん日中の運動量が増えて適度に疲れが溜まり、夜の寝つきがよくなることが多いです。  家庭の事情に合わせたスケジュールで結構ですが、おおよそ朝6~7時くらいを目安に、遅くても8時までには起こしてあげるとよいでしょう。

日中は体をたくさん動かす  

夜にまとまった睡眠をとるためには、日中の活動で適度に疲れる必要があります。日中はできるだけ体を動かす遊びをとり入れましょう。ベビースイミングやベビーヨガなど、ママやパパも一緒に楽しめる運動もよいですね。

天気がよければベビーカーや抱っこ紐でお散歩するのもおすすめ。できれば午前中に太陽の光を浴びると、夜に睡眠を促すメラトニンというホルモンが分泌されて、睡眠の質を高めてくれます。

ただし、活動は赤ちゃんの様子を見ながら行いましょう。疲れ過ぎは、寝ぐずりや夜泣きの原因になります。

お昼寝の回数や時間を調節する

1歳は、日中の睡眠を2回から1回に移行していく時期です。子どもの状態や活動量に合わせながらで結構ですが、11:00~14:00くらいの間を目安に2時間ほどのお昼寝を1回取り入れるとよいでしょう。

日中の活動で適度に疲れが溜まっても、お昼寝をし過ぎてしまうと夜に眠りにくくなります。

1歳児に必要な総睡眠時間は12~13時間くらい。夜にまとめて10時間前後の睡眠をとり、お昼寝で2時間前後の睡眠を1回とるのが理想ですが、子どもの様子を見ながら、徐々に調整してあげてください。

赤ちゃんも毎日の体調や機嫌に変化がありますから、連日外出したりたくさん遊んだりして疲れていそうなときは、時間を気にせず昼寝をさせてあげることも大切です。

寝る前に本を読み聞かせる

赤ちゃんの寝かしつけにはルーティンがあると効果的。毎日行っていけば、赤ちゃんの体が自動的に眠る準備を始めるようになります。

音楽や子守歌などさまざまなルーティンがありますが、特におすすめなのは本の読み聞かせです。ママやパパの声を聞くと心がリラックスして寝つきやすくなりますし、言語の発達にも役立ちます。

1歳はできれば21時くらいまでに寝られる  とよいでしょう。寝る時間の1時間くらい前になったら、赤ちゃんを興奮させるような活動は避け、眠りの準備に入ります。テレビやスマートフォンの動画などは、脳が覚醒するため避けたほうがよいでしょう。特に液晶画面が発するブルーライトには、睡眠の質を下げる悪影響があります。

良質な睡眠で赤ちゃんの健やかな成長を

赤ちゃんの時期の睡眠は、単に脳を休ませるだけのものではなく、脳が成熟するために欠かせない活動です 。今回は赤ちゃんの寝かしつけの方法やコツを中心に解説してきましたが、大切なポイントは、赤ちゃんが良質な睡眠をとれるように環境や生活を整えてあげること。環境にはママやパパの心や体の状態も含まれます。  

ママやパパが疲れ過ぎないよう、きょうだいやおじいちゃん、おばあちゃんなどの手を借りて、昼間に遊んで活動量を増やしてもらったり、寝かしつけに協力してもらったりするのも大切です。大切で可愛い赤ちゃんが健やかに成長するように、家族みんなで見守りたいですね。

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