ベビーソープは弱アルカリ性と弱酸性どちらを選ぶ?正しい知識で適したベビーソープを
監修:古市 菜緒
- プロフィール
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助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。
赤ちゃんの肌に使うベビーソープは何を基準に選びますか?
あるベビーメディアの調査では、ママが赤ちゃん用品を選ぶ際に最も重視するのは「配合成分」との結果が出ています(ベビペディア調べ、回答者数561人、2024年)。
「配合成分を最も重視する」とはつまり、化学物質を多く含まず、できるだけナチュラルな天然由来成分のもの、無添加のものを選びたいママが多いことを示すでしょう。
デリケートな赤ちゃんの肌に負担をかけたくない、安全な成分のものを選びたいというママ(パパ)の気持ちが伝わります。
しかしながら、「赤ちゃん用」「無添加」などと記載されたベビー用品を選んだとしても、必ずしもすべての添加物が無添加というわけではありません。それらの表記には決められたルールはなく、合成添加物が含まれていたとしても「無添加」と表記されている場合もあります。ただ単に「無添加」の表記やイメージではなく、きちんと中身を理解して商品を選ぶことが大切です。
今回のテーマであるベビーソープの弱アルカリ性と弱酸性についても、なんとなくのイメージで選んでいる方も多いかもしれません。そもそも、アルカリ性、酸性とは何でしょうか。
今回は、赤ちゃんの肌と、弱アルカリ性や弱酸性などpHとの関係を深掘りします。
出産準備品としてベビーソープを購入しようとして、あまりの種類の多さに選びきれない方にぜひお読みいただきたい記事です。
また、ご自身の乾燥肌や敏感肌などにより、肌にやさしい洗顔料、スキンケア剤、化粧品、クレンジング剤、ボディシャンプーやボディウォッシュ、ハンドソープなどを探されている方にも役立つでしょう。
赤ちゃんのベビーソープは「弱アルカリ性(石けん)」と「弱酸性ソープ」のどちらを選ぶべき?
「弱アルカリ性と弱酸性のどちらが肌にやさしいと思いますか?」と質問すると、多くの方が「弱酸性?」と回答するかもしれません。しかし、本当に弱酸性のほうが肌にやさしいのでしょうか?詳しく解説していきます。
●酸性とアルカリ性のどちらが肌にやさしい?
液性が酸性かアルカリ性かはpHの値で決まります。
pHとは「水素イオン濃度指数」のことで、水溶液の水素イオンの濃度を示す値です。簡単に言えば、液体の性質を表す数値になります。pHは7が中性、7より高ければアルカリ性、7よりも低ければ酸性です。
水がほぼpHが7で中性になり、アルカリ性、酸性の例は次の図の通りになります。
酸性は「酸っぱくて物を溶かす」、アルカリ性は「苦くて物を溶かす」という性質を持ちます。
図を見ると、ただ単に「弱酸性だから肌にやさしい」とは言えないことがわかるでしょう。
なぜ「弱酸性が肌にやさしい」という話が出てきたかといえば、皮ふ表面が弱酸性の性質を持つためです。弱酸性の皮脂膜が細菌の繁殖を防ぎ、皮ふのバリア機能の一翼を担っています。
酸性はアルカリ性で中和され、汚れなどが落ちやすくなるのですが、この件は次の項目で説明します。
●弱酸性のベビーソープと弱アルカリ性の石けんはどちらがよい?
いろんなベビーソープが販売されていますが、大きく2種類にわけることができます。
一つ目が石けんタイプのもの。
石けん(石鹸)とは、植物などの油脂からつくられた脂肪酸塩(脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩)であり、人間は紀元前の大昔から石けんをつくり、洗浄剤として利用してきました 。一般的には固形タイプの石けんをイメージするかもしれませんが、液体タイプや泡タイプの石けんもあります。
植物原料を使って昔ながらの方法でつくられた石けんを、植物石けんや純石けんなどと呼んだりします。また、pH は必ず「弱アルカリ性」になります。石けんが汚れを落とすカギとなるのが、水と油など本来は混ざらない物質を混ぜる界面活性作用です。そのため、石けんは界面活性剤でもあります。
界面活性剤などと「剤」がつくと化学物質のようなイメージを受けますが、石けんは自然のものから作られてが何千年も使い続けた成分で、肌にやさしいことは歴史が証明しています。
二つ目が洗剤タイプのもので、化学的に作られた「合成界面活性剤」が主成分となります。
合成界面活性剤は第一次世界大戦当時、石けんの原料になる天然油脂が不足したため、石油などから合成してつくられたことが始まりです。現在は植物系の合成界面活性剤も多く存在します。pHは「弱酸性」の場合が多く、アミノ酸系の洗浄成分も洗剤タイプに含まれます。
つまり、石けんも洗剤も汚れを落とすメカニズムは同じなのです。
生まれて間もない赤ちゃんは、まだ肌がデリケートです。ベビーソープは、単純な「イメージ」ではなく中身を正しく理解して選ぶようにしましょう。
次の項目では、ベビーソープにおける弱アルカリ性の石けんタイプと、弱酸性の洗剤の違いを詳しく解説していきます。
弱アルカリ性(石けん)のベビーソープのメリット・デメリット
ここからは石けんが主成分のベビーソープを「弱アルカリ性ソープ」と呼び、弱酸性で合成界面活性剤を主成分とするベビーソープを「弱酸性ソープ」と呼びます。
弱アルカリ性ソープと、弱酸性ソープの性質の違い、メリットとデメリットを解説します。まずは弱アルカリ性ソープからです。それぞれの特徴を理解し、どちらのベビーソープを使えばいいか判断できるようになりましょう。
●メリット
・汗や皮脂汚れをさっぱり落とせる
前述の通り、肌の皮脂汚れは主に油です。
弱アルカリ性ソープを使うと汚れを浮かせやすく、こすらず落とせるため、肌への物理的な負担は少なくなります。美人の湯と言われる温泉のpHがアルカリ性である場合が多いのは、この理由からです。
・泡切れがよい
石けん成分(脂肪酸塩)は泡切れがよく、洗浄成分が肌に残りにくい特徴があります。こすらずすすげるため、結果として肌への物理的な負担も少なくなるのです。
●デメリット
皮脂汚れを落としやすいという特性のため、肌にツッパリ感が出ることがあります。そのため、肌の乾燥が強く、アトピー体質でかゆみがあるなど、皮脂を多めに残したほうがよい場合は、弱酸性ソープがおすすめかもしれません。
弱アルカリ性ソープがおすすめの赤ちゃん
肌トラブルがなく、皮ふが健康な赤ちゃんは、弱アルカリ性ソープがおすすめです。
赤ちゃんは基本的に新陳代謝が活発で汗っかき、皮脂の分泌も多いです。特に新生児期(生後27日まで)から生後4か月くらいまでは、母体から受け継いだホルモンの影響で、皮脂を多く分泌します 。ぬるぬる感が残らないので、初めての沐浴にもおすすめです。
皮ふに汚れが残ると、あせもや湿疹などの肌トラブルの原因になるため、皮脂汚れを落としやすい弱アルカリ性ソープがおすすめです。
汗をかきやすく、皮脂を分泌しやすい梅雨や夏の時期は弱アルカリ性ソープにするなど、季節によって使い分けるのもよいでしょう。 |
弱酸性のベビーソープのメリット・デメリット
続いて、弱酸性のベビーソープの特性、メリットとデメリットを解説します。
前述の通り、弱酸性ソープは石けんではなく、合成界面活性剤が主成分です。
●メリット
洗浄力がマイルドなため、肌にツッパリ感が出にくいメリットがあります。
●デメリット
洗浄力がマイルドな分、皮脂汚れが残りやすいのがデメリットです。また、合成界面活性剤を含むため、しっかり洗い流さないと、洗浄成分(ぬるぬる感)が残り肌トラブルの原因になります。
弱酸性ソープがおすすめの赤ちゃん
肌がカサカサしがちな乾燥肌の赤ちゃん、かゆみを帯びたアトピー肌の赤ちゃんにおすすめです。ただし、泡切れが弱アルカリ性ソープに劣るため、よく洗い流してください。合成界面活性剤を除去しようとこすり過ぎると、物理的な刺激が肌の負担になる点にも注意が必要です。 |
赤ちゃんの肌にあったベビーソープを選んであげることが大切
ここまで石けんとは何か、弱酸性のベビーソープとは何かを説明してきました。
それぞれのメリットとデメリットを踏まえると、アトピー肌の赤ちゃん以外は、弱アルカリ性の石けんがおすすめです。赤ちゃんは首回りや関節の部分などに皮ふの重なりがあり、すすぎきれずに洗浄剤が肌に残留する可能性が高いので、ぬるぬる感の残らない泡切れのよい石けん成分のベビーソープがよいでしょう。
石けんは洗浄力が強いため、肌にツッパリ感を生じる場合がありますが、商品によってはその点をカバーして潤いを守りながら洗えるものがあります。
特におすすめなのはアラウ.ベビーの「泡全身ソープ」です。”肌すこやか成分”を配合しているので、うるおいを守りながら素早くきれいに洗うことができます。防腐剤や保存料、着色料、合成香料などは無添加の植物性石けんです。ninaruママパパベストでは全身ベビーソープ部門5年連続No.1を受賞(※)し、多くのママパパから支持を受けています。
※先輩ママが選ぶ、ninaruママパパベスト全身ベビーソープ部門 5年連続No.1
●肌質に合わせて選べる3タイプ
また、アラウ.ベビーの「泡全身ソープ」は、肌質に合わせて3タイプから選ぶことができます。
泡全身ソープすべすべ
「大きな肌トラブルはない」「肌のべたつきが気になる」「定番人気の商品に惹かれる」という、ふつう肌さんにぴったりのベーシックタイプです。肌をやさしく洗い上げてすべすべのお肌に。
泡全身ソープしっとり
「大きな肌トラブルはない」「肌がかさかさ気味」「保湿感を大切にしたい」という、かさかさ肌さんにぴったりのタイプです。天然の保湿成分たっぷりで、しっとりお肌に。
泡全身ソープ 敏感肌
「色々な商品を使ったが、肌に合うものがない」「肌に関する心配事が多い」「余計なものがなるべく入っていないほうがいい」という、デリケート肌さんにぴったりのタイプ。もっとやさしく、もっと低刺激を追求した製品です。
●洗浄後にきっちり保湿をしてあげることが大切
肌にぬるぬる感が残っている場合、保湿成分だと思いがちですが実は洗浄成分が残っていることも少なくありません。沐浴や赤ちゃんとのお風呂では皮脂汚れ・汗はもちろん、ベビーソープを洗い残さないようにしましょう。
そして、弱アルカリ性ソープ・弱酸性のソープ、どちらを使用した場合も、赤ちゃんのお風呂のあとには必ず保湿することが大切です。赤ちゃんだけではなく、お風呂の後は特に肌が乾燥しがち。お肌の乾燥は、さまざまな肌トラブルを招きます。
お子さんの健やかな肌を育むためにも、肌に余計な成分を残さず、きれいにした状態で保湿をしてあげることを毎日の習慣にしていきましょう。
ミルキーローション
デリケートな赤ちゃんの肌のために、皮脂バランスを考えた植物オイルを厳選配合。天然乳化成分にまでこだわった赤ちゃんのための低刺激・無添加ミルキーローションです。
今回は、弱酸性とアルカリ性を切り口にベビーソープの原材料や製造方法、肌質に合わせた選び方なども解説してきましたがいかがでしょうか。石けん選びの参考になったでしょうか。
ぜひ、赤ちゃんの肌を見極め、肌質に合ったケアをしてください。